「体の歪みや骨格のズレが、痛みや不調の直接的な原因だ」と思われている方はとても多くいらっしゃいます。
先日、腰痛で来院された方のお話です。 数年前に腰痛で整形外科を受診された際、「背骨の歪みが原因」と言われ、「骨が歪んでいるのだから仕方がない」と諦めかけていらっしゃいました。
体を詳しくチェックしてみると、確かに背骨が少し左右に湾曲しているように見受けられます。
その後、当院で数回ケアを行っていくうちに腰の負担は和らぎ、現在は快適に日常を過ごされています。
しかし、背骨の湾曲そのものが完全に消えてまっすぐになったわけではありません。
なぜでしょうか?
それは、骨の見た目の「歪み」そのものが痛みの直接的な原因ではなかったからです。
骨格は骨だけで立っているわけではない
現実問題として、背骨や骨格の歪みはどなたにも多かれ少なかれ存在します。完全に左右対称な骨格を持っている方のほうが珍しいと言えるでしょう。
私自身も体のねじれや歪みを観察しますが、それはあくまで状態を把握するための「指標」の一つに過ぎません。
理科室などにある骨格模型を思い出してみてください。
模型は上から吊るされていたり、背骨にポールを通したり、ワイヤーや金具で固定されているから形を保っていられます。
骨自体に自力で動く動力源はありません。
骨同士は、筋肉や腱、靭帯などの組織によってつなぎ止められ、支えられています。
では、骨格を歪ませている本当の『力』とは何でしょうか?
答えは『筋肉のバランス』と『重力』です。
テントの「ポール」と「ロープ」の関係
体は骨格をフレーム(骨組み)とし、筋肉で支え合うことで地球の重力に対抗しています。
例えるなら、骨格がテントの「ポール」、筋肉がそれを張る「ロープ」のような関係です。
もしロープの一部が緩んだり、逆に引っ張りすぎたりすると、テントは傾いて不格好な形になり、外からの力に対しても不安定になります。
このとき、見かけ上の形だけを整えようとしても、ロープの張り具合(バランス)が崩れたままであれば、すぐにまた傾いてしまいますよね。
体もまったく同じです。
筋肉のテンション(緊張具合)のバランスが崩れると、重力に対抗できなくなって体が歪んで見え、一部の組織に負担がかかることで痛みや違和感につながるのです。
この筋肉のテンションを裏でコントロールしているのが、脳や脊髄などの神経系です。
歪みに惑わされず、全体のバランスを整える
手と手を合わせたり、足の裏同士をくっつけたりしてみてください。
左右が1ミリの狂いもなくピッタリ同じになる人はほとんどいません。
見た目やレントゲン上で多少の左右差があっても、力のバランスがうまく取れていれば、痛みなく動けることも多いのです。
つまり、体の歪みは問題を探るヒントにはなりますが、それ自体が絶対的な原因というわけではありません。
不調の改善を目指すうえで大切なのは、「歪みを力ずくで無理に正すこと」ではなく、「体が無理なく支え合える力のバランスを取り戻すこと」です。
ご自身の体にとってどのような状態がベストなのかを知り、正しい体の使い方やバランス感覚(体性感覚)を身につけることが、将来的な不調の予防にもつながります。
当院では、全体のバランス調整はもちろん、正しい体の使い方や姿勢に関するアドバイスも行っております。
「自分の体のバランスを整えたい」という方は、ぜひお気軽にみたか治療院へご相談ください。
